逆ギレさんとみちのくの虫

山形で本業を忘れて虫採りをする大学生のブログ。いろんな虫に中途半端に足を突っ込んでいます。

台湾採集旅行記2016.9(後編)

9/3

朝のうちにチョウを中心に追加してから宿に戻り、荷物をまとめます。

昼前にはA地区を出て、電車でA→台北→八堵(バードゥ)→瑞芳(ルイファン)と向かいました。瑞芳から金瓜石行きのバスに乗り、九份老街で下車。料金は20元ほど。九份千と千尋の神隠しの背景モデルとされることで有名な、賑やかな観光地です。

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18時くらいに九份に到着し、今日からの宿にチェックイン。

宿は目的地から近く、なるべく安いところをとりました。

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一泊朝食付きで、観光地としてはお安い2670円ほど。ただし清潔さには少々欠けるようで、ベットには大量の髪の毛…簡素でちょっとアレでアレなシャワー室に至っては、潔癖のキキヤミが使いたがらない始末(笑)とりあえず荷物を部屋において観光に繰り出します。

細い路地に連なる赤い提灯と所狭しと並んだ店。香辛料や臭豆腐の匂い。異国情緒たっぷりの景色にテンションが上がりまくりです。

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ルーロー飯や炒飯といった定番メニューの他に、お化けみたいに大きなエリンギ、肉入りの真っ赤な甘い餅、串刺しの果物、その他よく分からないけれど刺激的で美味しいものを三人でシェアしながら食べました。

 

そのあとは周辺を散策。

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このあたりから自分の体に異変が起きました。台湾ではトイレに紙を流すのが一般的ではなく、ティッシュなどを持参して使い、備え付けのゴミ箱に入れます。衛生的にはちょっと疑問です。私が排泄時にティッシュをゴミ箱に入れると鮮血が付着していました。まさか台湾に来て初めての痔を体験することになるとは…(笑)と、かなり軽く受け止めました。

 

宿に戻り、明日の行先を相談して早々に寝ました。

 

9/4

朝の4時くらいでしょうか。お尻のあたりに不快感を覚えて目を覚ますと、わりと信じられない量の血液が付着していました。ただし、痛みは全くありません。

ビジュアルが壮絶すぎて若干パニックになりながら、一周回って爆笑して二人を起こし、「やばいやばい!!ケツから何の違和感もなくめっちゃ血が出たwwwwwww」と訴えると、雪山は寝ぼけながら「え、大丈夫…?」と心配してくれましたが、キキヤミは「え~今何時だと思ってるの~~??朝になったら好きなだけ心配してあげるから今は寝かせて~~!!」と言って寝直しました。お前だけは許さん。

心配されなかったし、血が出ていること以外に変わった症状がないので、まぁいいかとなって下着とズボンを洗って生理用品を後方に付けて私も寝直しました。

 

起床後、早朝の出来事を二人に話すも、キキヤミは「だってうるさいじゃん!!早朝だよ!?人の迷惑考えて!!!」ととんでもない逆ギレを浴びせられました。どっちが逆ギレさんかもう分かったもんじゃない。

台湾では水道水をそのまま飲むことが出来ないので毎回きちんとペットボトルに入ったものを飲んでいたし、食べるものも三人でシェアしていたのでほとんど一緒です。特別辛いものも食べていません。中国語が全く喋れないので病院で病状を正確に訴える自信が無い上に、その後の出血や痛みもないので病院には行かずに当初の予定を遂行。(絶対マネしないでください)

 

雨の予報でしたが、雪山の作ったテルテル坊主のおかげか、朝は快晴。

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宿で出してもらった朝食。サンドイッチとインスタントのカフェオレです。このカフェオレが本当に美味しくて、台北のスーパーでお土産に何袋か購入しました。

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この日は黄金博物館と黄金瀑布の観光、道すがらに採集、戻ってきて近くの山に入る、という予定です。“黄金”のフレーズから感じる成金感に、よく調べもせずに冷やかし半分で「ここに行こう!!(笑)」という軽率な決め方をしました。

九份老街にある宿から黄金博物館へは歩いて向かいます。ちなみに、九份老街にも同じ名称の「黄金博物館」なるものがありますが、こちらは名前だけ騙った偽物です。分かっててあえて行くという高度な楽しみ方もありますが、今回はスルー。

 

道沿いで見かけたお墓。カラフルでとても可愛い。形は沖縄で見るものに似ています。

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黄金博物館近くになると少し入り組んだ石段の道があり、涼しげな緑に囲まれています。舗装された道路を外れてこちらから博物館へ向かいました。

そこで暗い感じのチョウとツマムラサキマダラっぽいチョウが同時に飛んできたので、暗い方をとりあえずネットイン。胸部圧迫して、表翅を見た瞬間その美しさに驚愕しました。

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色の組み合わせがドストライクですが残念ながらこれもまだ名前が分かりません。

(追記 2017.2.8:ルリモンジャノメ Elymnias hypermnestra であると指摘いただきました。)

 

そしてこの道をさらに行くと、木漏れ日をキラキラと反射させながらテリトリーを張るコノハチョウが!!台湾だから合法!台湾だから合法!と、はやる気持ちを抑えて震える手でネットイン。

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堂々とした佇まいに、鮮やかなコントラスト…圧倒的引力を感じます。

沖縄では多数の個体を見ていて(しかも狙いのチョウを追いかけまわして散らしたりするので少々憎い)、悶々とする蝶だったのですが採集対象としてみるとこれだけ引き込まれるチョウもなかなかいません。沖縄でも個体数は多いんだから採集禁止になんてせず、様々な方法で愛でたらいいのに…。

 

ようやく黄金博物館に到着しました。黄金博物館は金の採掘に関する博物館です。英語でも解説があったのでサラッと見てきましたが真面目かつ分かりやすく展示がしてあるので一見の価値ありです。金を使った工芸作品?に虫をモチーフとしたものもありました。

 

それよりも博物館周辺で憧れのアオタテハモドキが飛んでいるのを見てしまった私は、あれをいかに観光客の目に触れない場所で数頭採集させていただくか…ということで頭がいっぱいでした(笑)

敷地内に採集を禁止するような看板はありませんでしたが、観光客はとても多いです。

 

二人がまだ鑑賞に時間がかかりそうだったので、博物館から少し離れた人気の少ない上り坂の小道で採集させてもらうことにしました。

 

アオタテハモドキ初採集!!これもいつか採ってみたい憧れの蝶でした。

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幻想的なマリンブルー…本当に美しい。

 

クロタテハモドキも初採集。鮮やかさでアオタテハモドキに霞んでしまいますが、繊細で丁寧な色使いが素敵です。

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他にもクロアゲハやカラスアゲハなんかが道沿いを飛んできました。

夢中になって採集していると後ろから若いアジア系のカップルがやってきました。とりあえず笑顔で「ニーハオ!」と挨拶して“不審者じゃないよアピール”をします。もう慣れたものです。

 

男性「What are you doing?」

私「I catching insects and make a specimens.」

男性「Really? That’s great! Where are you from?」

私「I’m from Japan.」

男性「僕も日本人です」

 

爆笑しながらカップルと別れました。

 

 

こちらはアオタテハモドキの♀。博物館の前には柵で囲われた小さな芝生?があり、そこにもアオタテハモドキが多かったです。

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人が多かったので網はリュックに仕舞って、スマホ片手にローアングルで写真をパシャパシャ。網を仕舞っていたので気にしていませんでしたが、たぶんこれも十分に不審者です。

 

 

博物館に戻って二人と合流し、外のテーブルで休憩。

そこにいたオシャレなガガンボ。生まれて初めてガガンボをかっこいいと思いました。

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博物館の敷地内にある小さな露店?でお昼を買い食い。“大腸包小腸”というもち米?のソーセージを半分に割って豚のソーセージとパクチーを挟んだものが美味しかったです。

博物館から出ているバスで黄金瀑布へ向かいます。

 

黄金瀑布は金の採掘とはあまり関係なく、このあたりの土や岩がきれいな黄色をしていて、それが黄金色に見えるという滝でした。

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川の水が土ごと海に流れ込むので河口は黄色く、だんだんと深い青色になっていくグラデーションが美しかったです。

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私はこの航空写真を見たときに、軽率に「水深の浅い砂浜が広がってる!ビーチコーミングできるぞ~!!」と思っていましたが実際は海の色で、海岸沿いは完全に岩場でした(笑)

 

 

炎天下の中そこそこ歩いたので帰りはバスで。と思ってバス停で待っているとタクシーがやってきて、バスはもう来ないというようなことを身振り手振りで伝えてきました。何言ってんだ時刻表だって確認してるし来るに決まってんだろと思いましたが、運転手さんの提示してきた金額が三人分のバス代とほぼ同じだったので乗ることにしました。

 

快適に次の目的地である小さな山の入り口に送ってもらいました。(道が混んでゆっくりと進んでいる中、人をこすりそうなくらい塀すれすれに追い込んで歩行者から車体を叩かれたりしていた。怖い。)

 

小雨が降ったり晴れたりと落ち着かない天気の中、山を登りはじめます。

 

 

石段をのぼるナナフシ。もうちょっと体に合った背景で頑張れ!

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展望台のようなところまで到達したあたりでキキヤミがくたばり、ここで待ってるから二人で行ってきて~と言われました。貧弱貧弱ゥ!!

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こんな感じの道をてくてく歩いてチョウをいくつか採集したところで雨が降ってきました。気温が下がって、チョウの採集にはあまり良くありません。キキヤミを待たせていることだしと引き返しました。

展望台に戻るもキキヤミはいません。実にマイペースです。きっと先に下山しているのだろうと足早に山を下ります。入り口で待っていたキキヤミと合流。九份に戻りました。

 

 

私と雪山もバテ気味だったので九份老街の喫茶店に入り、休憩しました。

いつもなら別々のものを頼んでシェアしますが

 

キキヤミ「逆ギレはケツから血出てるし感染したくないから雪山さま一緒に食べよー!」

雪山「そうだね」

 

お前ら今に見てろ、パンデミックを起こしてやるからな…と思ったりもしましたが寝食を共にした二人が、帰国後も私のような症状が出なかったのは本当に不幸中の幸いでした。

九份最後の夜なのでお土産なんかも買い漁って、はしゃいで過ごしました。それぞれに一番似合う柄のチャイナドレスを見繕いあって買ったりして、修学旅行で木刀を買う中学生となんら変わりありません(笑)

採集品の整理をし、クタクタに遊び疲れてこの日は寝ました。

 

 

9/5

 

宿で出された朝食を食べ、台北に向かいます。

荷物の整理をして、台北へのバスを待っていると我々の大荷物に目を付けたタクシーのおじちゃんがやってきて、身振り手振りで乗って行けと言います。バスより1時間以上早く着くとのことで、電卓で金額を提示してきました。三人分のバス代よりは少しだけ高いですが、荷物を抱えて狭いバスに長時間揺られることを考えたら、タクシーで移動するのもまあアリだなと考えてお願いすることにしました。

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が、タクシーに乗り込んで絶句しました。

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フロントにはごちゃごちゃとおもちゃが並べられ、車内はいたるところに括りつけられたぬいぐるみ…(笑)

こんなんでまともに運転できるのかと疑問に思いながら出発。運転手さんが気を利かせて演歌を流してくれたりもしますが運転が本当にヒドイ。何もないところで止まる、急加速、急ブレーキの連続で生きた心地がしませんでした(笑)

我々のざわつきに「ダイジョーブ!ダイジョーブ!」と運転しながらノートを広げて渡してきました。大丈夫じゃねえから前見て運転してくれ。

 

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やっぱりこのタクシーは失敗だったかなと思いながら台北まで送っていただきました。酔いやすいキキヤミは運転開始直後に撃沈。普段酔いづらい雪山と私ですら最後はテンションだだ下がりでした。

 

昼には雨の台北に到着。あまりに気分が悪くて屋根のあるテーブルとベンチでしばらくダウン。そこからのそのそと宿に移動し、チェックイン。

今回の宿は西門(シーメン)にとりました。20階建てくらいのビルがフロアによってさまざまな使い方をされていて、七階がこの宿泊施設のようでした。指定の番号のドアを開けると3つの扉があり、一号室と二号室、共同のシャワールームといった造りになっていました。我々は一号室なので二号室は別のグループが使うようです。小さなシングルベッドとダブルベッドが狭い部屋にギッチリと配置された三人部屋です。一泊驚きの1257円ほどですが、九份の宿のようにシーツに髪の毛は散らばっていなかったので一息ついて付近の散策に出かけます。

 

西門はいかにも若者の街、といった感じでメインストリート沿いに流行りのお店が軒を並べています。個人的には昔の渋谷に近いイメージです。三人でいろいろと見て回りました。

 

せっかくの台湾旅行なんだから夜市なんかも楽しみたい!ということで最後の二日間は華やかな台北に滞在して、地下鉄を駆使して観光や採集をしつつ夕飯は夜市で、という計画です。

この日の夕食を食べに訪れたのは饒河街観光夜市。MRTという地下鉄を使ってXimenからSongshanへと移動します。切符の代わりに妖怪メダルみたいなものが出てきて、それを改札に当てて電車に乗り、目的の駅の改札で回収されます。コストはかかるかもしれませんが、繰り返し使えていいなぁと思いました。夜市はSongshanを出てすぐにあるのでわかりやすいです。

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細い道を取り囲むようにたくさんの露店が並び、大変活気があります。とりあえず気になったものを胃袋と相談しながら購入し、楽しみました。

 

宿に戻って、順番にシャワー室を使います。二号室は中国語を話す男性のグループで(壁が薄いので聞こえてくる)、シャワー室を使った後のようだったので気兼ねなく入れます。潔癖のキキヤミが「無理!!!!」とか言いながら消毒用のアルコールをボトルで買って、いたるところにぶちまけて使っていたので使用直後はシャワー室がとてもアルコール臭くなりました(笑)

 

寝る前に壁や床を走るゴキベビーを複数確認し、荷物(特に採集品)に侵入されないように対策をして、何も見なかったことにして寝ました。

 

 

9/6

 

帰国予定日は明日なので、今日が採集のラストチャンスです。雪山とキキヤミは北投温泉へ観光へ、私は交通の便が良い別の場所で採集しようという予定です。

 

朝は宿の裏手にあったご飯屋さんでルーローハン(とろっとした肉のそぼろ丼みたいなもの。安くて美味しい。)を食べて行動開始。航空写真で圓山大飯店という高級ホテルの近くに目をつけて、MRTを使い剣潭で降ります。(今回に限り、具体的な場所を出している理由は後述します。)

圓山公園は森林公園のようになっており、時折すれ違う人に「ニーハオ!」と挨拶しながら入り組んだ道をてくてく登ります。

 

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 (2017.2.8 追記:ミワヒラタではないかとの指摘をいただきました。)

 

突如「ギャッギャッギャッギャッ!!!」と悪魔のような声が上の方から聞こえてきて何事!!?と思って顔を上げると、デカめのリスが鳴いていました。おそらくタイワンリス。鳴き声全然可愛くない!(笑)

 

道沿いは木陰で涼しく、クロアゲハやキチョウ、ジャノメチョウの仲間が時々飛んでくるくらいであまり蝶はいません。

 

1時間くらい歩き続けるとだんだん道が明るく、標高も上がってきました。

まだ見たことのないような蝶が後ろから私を追い越していったので、反射的に網を振りました。

 

慎重に胸部を圧迫しながら翅を開くと柔らかな青と赤が広がり、胸がときめきます。なんて綺麗……。

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アップダウンを繰り返すうちに道幅も2mくらいに広がってきて、サルビアのような赤い花とランタナが植えられています。

特に赤い花の方にタイワンモンキアゲハ、ルリモンアゲハ、カラスアゲハ、クロアゲハ、ナガサキアゲハなどが訪花しており、ここでやってくるチョウをしばらく採集。旅の前半で訪れたAと比べるとルリモンは特に翅のボロい個体が多く、ほとんどキャッチ&リリースしながらボケーっと地べたに座ってチョウを眺めていました。

 

すると、レース模様のような裏翅を持った愛らしいシジミチョウの仲間がやってきました。私の汗を吸いに来たようです。

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 (2017.2.8 追記:アマミウラナミシジミ Nacaduba kuravaであると指摘いただきました。)

私は小型の蝶の軟化展翅には自信が無いので、今回の遠征ではシジミチョウは採集せずに写真だけで楽しむことにしていました。

 

他にはこんなきれいなシジミチョウも。どちらも後翅にピッと入ったキラキラの明るいブルーが魅力的です。

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 (2017.2.8 追記:ヒイロシジミ Deudorix epijarbas ではないかとの指摘をいただきました。)

網を地面に置いて、チョウを待ちながらだらけていると15人くらいのおじさんおばさん集団が。「ニーハオ」と挨拶すると、何か中国語で話してくれるのですがさっぱりわかりません。網を指さしたりして何か言っていますが英語も通じないので笑顔で首をかしげるしかありません。

その集団が行ってしまうと、すぐ後ろからもう少し歳のいったおばさん二人組がやってきて、「日本人ですか?」と聞いてきました。「そうです」と答えると「さっきの人たちは、ここはみんなの場所だからチョウを捕まえてはダメだと言っていたの」と親切に教えてくださいました。びっくりして「ありがとうございます!すみません、知らなくて…」と答えると「はじめて来た人は知らなくて当然、次は気を付けてね」と優しく教えていただきました。

 

ということで、圓山周辺は条例か地域住民の暗黙の了解かは不明ですが、昆虫採集には適さない場所だということが分かりました。逆に、チョウの撮影には向いているポイントではないかと思います。これを読んだ方は台北での採集時にはお気を付けください。さすがに今回圓山で〆たチョウを捨てていくわけにもいかず、反省とともに持ち帰りました。

 

 

台湾の国立公園は基本的に採集禁止なので避け、採集予定地が昆虫採集禁止になっていないかネットで調べてから採集に臨み、看板で注意書きがあれば引き返すなど、ある程度注意を払っていたのですが今回はの件は現地で教えていただかなければ分からなかった情報とは言え現地の方々に不快な思いをさせてしまったかもしれず、非常に反省しています。

 

その後はすぐに網をリュックに仕舞って来た道を戻りました。飲み物を買わずに採集に出てしまったため、降りきる頃には軽い熱中症の症状が出たので二人との合流予定の時間までコンビニのイートインでしばらく休憩しました。

 

夕方、二人と合流して士林夜市へ向かいます。MRTのJiantanで降りて看板通りに進んでいくと、賑やかな露店と大きな建物の入り口に出ました。士林夜市はこの建物の地下一階?にあるフードコートのようで、ここなら雨の日でも楽しめると思います。

まずは外の露店をさっと回ると、美味しそうな果物を売っているお店やパチモンのお土産屋さん、さまざまな料理のお店が並んでいました。キキヤミが果物屋さんでマンゴーを買ったので一口分けて貰うと、信じられないくらい甘い!!!口いっぱいに幸せが広がります。キキヤミ曰く、前に一度だけ食べたことのある超高級マンゴーに匹敵する甘さだそうです。値段はよく覚えていませんが日本での価格のおよそ1/3程度。こんなに甘いマンゴーがあることに衝撃でした。

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フードコート内のお店でいくつか食べ物を買い、テーブルで分け合いながら食べました。(ちなみに下血の量はだいぶ少なくなっていました、が、まともな神経をしている人間なら絶対に食べ物のシェアなんかしません。つまり、まともな判断力を持った人間はこのパーティには存在しません。)

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黄金博物館でも食べた大腸包小腸。気に入ったのでここでも購入しました。パクチーの香りがたまらない。

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他にも蟹の素揚げと空芯菜の炒め物を注文しましたが、これがめちゃくちゃ美味い!!サクサクと軽い食感で旨味の強い蟹。空芯菜とみじん切りのニンニクに味付けて炒めたものがこんなに美味しいなんて知りませんでした。

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美味しいものをたくさん食べて士林夜市を後にし、夜の西門を観光しました。

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宿に戻るとどう使ったらこうなるんだという具合に共用のトイレの便座が壊れていてぶちぎれるなどしましたが、とりあえず荷物整理をして寝ました。

 

 

9/7

 

昼前には二号室への怒りのメッセージを英語で書き置きしてチェックアウト(笑)喧嘩は避けたいので言い逃げです。

今日の夜には飛行機に乗るので、余裕をもって採集はせずに観光とお土産探しを楽しみます。最初は漢方薬やお茶のお店が立ち並ぶことで有名な観光スポット、迪化街に行きました。

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よくわからない漢方薬が所狭しと並べられている光景は胸がワクワクします。お茶を買ったりお香を嗅いだりして楽しみました。ひとしきりお土産を買いあさった後は、少々気恥ずかしいですが女子大生らしく人気のスイーツを食べに行ったりしました。

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豆乳を豆腐よりも柔らかく固めて冷やした豆花(トーファ)という食べ物。フルーツと一緒に食べます。暑い中を歩き回ったので口の中に広がる冷たさは心地よく、優しい甘さでとても美味しかったです。

 

 

その後もいろいろと遊んではしゃいでMRTで台北駅へ向かい、台北駅からバスで桃園国際空港へ向かいました。バスを待っている時に、桃園国際空港ではない別の桃園行の列に並んでしまっていましたが、親切なおばさんたちが私たちのチケットを見て中国語とジェスチャーで正しい列を教えてくれました。危うく飛行機を乗り逃がすところでした(笑)台湾の人たち本当に優しい…。

 

順調に搭乗手続きをして、21:50の便で台湾を発ちました。

謝謝台湾!!また来ます!!!

 

 

9/8

 

01:35に関西国際空港に到着し、この日の一番安い仙台行の夜行バスに乗るために空港でまた18時間ほど時間をつぶしました。(とてもしんどい)

 

9/9

 

朝10時に仙台駅に着き、そこからバスで一時間かけて山形へ。やっと帰宅しました。大阪からの帰りがしんどくて山形に着くころには全員無言(笑)

 

そして帰国したので荷物整理の後、病院へ行ってきました。この時には下血はほとんどありませんでしたが疲労でふらふら。近所の病院へ行ったら、精密検査が必要なので大学病院へ行ってくださいと言われて出直し、腸の粘膜?を綿棒で採って提出。そしてよく分からないまま点滴を受けるはめに。

 

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検査結果が出るには一週間ほどかかるそうなので、病院から帰ってそのまま寝ました。病院へ行ったあたりから熱が出て(たぶん風邪)、でもやらなきゃいけないことや気になることがたくさんあったので38度台でも3日ほど動き続けた結果、長引いたし手酷く寝込みました。あまり無理しちゃだめですね。

 

検査結果としては、病院に来るのが遅すぎたので何が原因だったかは分からずじまい。お医者さんによると、おそらくは現地のアメーバか何かにやられたのだろうということでした。濃厚接触者二人が無事なので感染のリスクは低い、ただし大事をとって今後なるべく人との接触は避けることと、二人にも異変があればすぐに病院へ行くよう伝えるように。と仰せつかりました。

 

 

とりあえずは無事?に帰ってこれたのでめでたしめでたしです。海外旅行経験者が誰一人いない上に中学生レベルの英語ですら怪しいポンコツメンバーですが、初めての台湾を存分に楽しむことが出来ました!じりじりと照り付けるような太陽、鮮やかな生き物たち、独特の自然、香辛料とフルーツの香りが恋しくてたまりません。

主観100%の台湾採集記にここまでお付き合いいただきありがとうございました!

 

最後に、なぜ今更9月の記事をアップしたのかというと、“台湾に行きたいわん病”をこじらせた勢いで来月末の台湾往復航空券をとってしまい、この遠征に行く前には採集記をまとめておかないと…!と焦りを覚えてようやく書く気になったのでした。2月の台湾は採集に不向きな気はしますが、存分に楽しんできます!

台湾採集旅行記2016.9(前編)

 

※虫の名前など間違いだらけだと思います。順次情報を差し替えます。ぜひご指摘・ご教授お願いします。

 

私、雪山、キキヤミの大学の同期三人で去年の夏休みを利用して台湾に行ってきたことを今更ながらまとめます。ちなみに、二人は虫屋ではありません。私はチョウ、雪山は主に(ムチムチした)幼虫、キキヤミはセミを主軸にいろいろとミーハーに楽しんじゃおう!というちゃらんぽらんパーティです。採集するつもりがあるのは私だけなので取り分を争わなくていい理想的なメンバーです。

 

8/30

それぞれ山形、新潟、千葉から(私が夜行バスを乗り逃がして次の乗車地まで新幹線で追いかける等あったものの)大阪の関西国際空港にて合流。レンタルルーターを借りて空港内の休憩スペースでスマホを充電しながら仮眠をとります。私は夜行バスで大阪へ向かったので午前中のうちに着き、お金も使いたくなかったので16時間近く空港内でダラダラしてました(とてもしんどかった)。

 

8/31

02:30発のバニラエア国際線で桃園(タオユェン)国際空港へ。フライトは二時間ほどで、現地時間の04:30には到着しました。バニラエアの往復1万5千円ほどの航空券を使いましたが快適でした。全員が初海外なのでドキドキしながら入国審査。一番不安だった会話もほぼなくあっさり入国。空港で日本円からNTDに換金して(こっちでやったほうがお得)、待合室でバスの発車時刻になるまで仮眠をとりました。

 

バスで桃園から台北へ向かいます。日本では考えられないほどバスの運転が荒い(笑)どんどん元気に加速していきます。心配になって周りを見ると、周りの車も同じようなとばし方をしていました。道路に書いてある速度は誰も守っていないようです。車間距離も近い。台湾の交通事情を知らないまま、出発前はレンタカーを借りようなどと考えていましたが(大学の教授に相談したら絶対に借りるなと言われた)、借りなくて本当に命拾いしたなぁと思います。

 

 

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台北駅周辺。当たり前だけど中国語の表記ばかりで三人でテンションが上がる(笑)

 

台北から電車で向かう最初の目的地は台湾の真ん中よりちょっと北西あたりの苗栗(ミャオリー)にあるA(詳細な地名を露骨にネットにあげるのは私のポリシーに反するので伏字)という地区です。台湾の採集情報を事前にネットで調べていたら、ものすごく詳しく地図上でのポイントまで載せているサイトさんがあり、その採集ポイントの一つとしてAも載っています。そんなにピンポイントで載せたらこのサイトを参考に台湾で採集しようとしている人たちがみんなそこに行ってしまって、もしかしたら現地に方々の迷惑になることもあるんじゃなかろうか…とかいろいろ考えて、そのサイトで取り扱っているポイントやルートをそのままでは使わずに、そこからは少し離れた林道や山に入って良さそうな環境を探そうと決めました。

 

街中で見たクワっぽい葉。攻撃力が普段見るやつより高そう。

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乗り換え途中の駅のホームで見たカメムシの死骸とそれに集るアリ。

 

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順調に乗り換えて11時にはA駅に着きました。Aはのどかな田舎町で、観光に来る人もあまりいない感じがしました。周りは大きめの道路沿いに住宅が広がっていますが、15分も歩けばすぐに採集にも良さそうな林にぶち当たります。期待を膨らませて民宿にチェックイン。朝食付きで一泊3060円ほど。可愛いし非常に清潔で快適です。

 

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荷物を預けて採集に繰り出します。

事前にGoogle mapの航空写真で目をつけていた林道に入ると、もう何もかもが楽しい!!目に入るものすべてが真新しく、名前も知らないきれいなトンボが目の前を横切っていったり、水路には毒々しいピンク色の卵?(おそらく貝のもの)がビッシリついていたり、大きなアガマが日向ぼっこしていたりと、一瞬で台湾に魅了されてしまいました。

 

道路上でのんびりしていたアガマ。体長は40cmくらい。

 

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パタパタパタパタ!!と大きな音を立てて飛び跳ねるバッタをネットインしてみると、とんでもなくデカい!!

 

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後翅もピンク色でとてもきれい…タイワンツチイナゴです。

 

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染めあげたように真っ赤なトンボ!翅脈が真っ赤でベースは黒です。

 

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草原をオナシアゲハが飛んでいましたが、そこそこの距離と、(勉強不足により)低くとも何がいるか分からない藪の中を駆け回る度胸が無かったので草原の縁で涎を垂らしながら「こっちにこい!!」と念じるのみでした。

道沿いに歩いているとタテハっぽいマッチョな飛び方をする蝶がやってきたのですかさずネットイン。リュウキュウムラサキです。ピカッと後翅の紫が反射したのが鮮烈でテンションが上がります。

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更にクロアゲハ。なんか違和感があるけれどその違和感が何なのか分からないまま山形に帰って、展翅してから台湾のクロアゲハには尾状突起がないことに気が付きました(笑)

 

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ツマムラサキマダラ。この、目に鮮烈なブルーはリュウキュウムラサキと同じく構造色で、角度によっては真っ黒になります。飛翔しながら翅が煌めく幻想的な姿が、今でも目の奥に焼き付いています。

 

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他にもリュウキュウアサギマダラツマムラサキマダラ、アオスジアゲハ、イシガケチョウ、カラスアゲハなんかに歓声を上げながら林道を進んでいくと、結構な速さで我々を追い抜いて飛んで行った格式高い青い蝶…

リュックを下して二人に何も告げないまま虫網片手に全力疾走しました。

 

ネットインした瞬間、網をくるっと回してチョウを閉じ込め五体投地しました。

 

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やったああああ!!!!夢にまで見たミカドアゲハ初採集です。

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 虫屋になる前からずーっと憧れ続けたチョウなので喜びもひとしおでした。この裏翅に対して表翅の引き込まれるような心地よいブルー…もうメロメロです。

 

そこらへんにいるクモだって手のひらくらいあっていちいち最高にカッチョイイ!!

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このシジミチョウも大変愛らしくて良い…。(追記2017/1/28:タイワンクロボシシジミではないかと教えていただきました!)

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林にはセミの鳴き声が響き渡るのに、「ビーーーッ」という電子音っぽい鳴き声でコレジャナイ感に頭が混乱しました。あと、ヒルガオっぽい植物にたくさんついていた最高にかっこいい大きなハムシ。大黑星龜金花蟲というらしい。

 

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夜も少し歩いてみようということになったので日が傾き始めたあたりで一度撤退。宿に戻りました。

宿はにこやかな若い男性がオーナーさんで、拙い英語を頑張って聞き取っていただきました(笑)オーナーさんだけでなく、台湾の方々は優しくて英語が堪能な人も多くたくさん助けていただきました。「エクスキューズミー?」と頑張って英語で聞くも我々よりはるかにちゃんとした英語で答えてもらえるので、こちらから英語で話しかけておきながら十分には返せなくて恥ずかしかったです。オーナーさんおすすめの近くのご飯屋さんへ送ってもらって、注文までしていただけました。それぞれみんな同じ炒飯をお願いして、出てきた炒飯がこちら。

 

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謎の日本語「だいこん」(笑)

本っ当に美味しくて、皆ぺろりとたいらげました。一皿約60元(180円)。台湾は日本よりも物価が安いので本当に助かります。お店のおばちゃんは英語は通じないらしくジェスチャーと指さしでお会計をし、拙く「ハオチー(美味しい)」と伝えたら笑ってくれました。

 

そのまま宿に戻らず探索へ。近辺で良い外灯があればと思っていたのですが、Aではオレンジ色の(おそらく)ナトリウム灯がものすごく多いです。私の住む山形市よりもはるかに多くの外灯が設置されています。飛行機で桃園の上を飛んだ時も、道沿いにオレンジ色の光が高い密度で見えましたが、道沿いに延々と設置してあるような印象です。

簡単に言うと、灯下巡りにはものすごく不向きです。光は一定だし、いくら周辺の環境が良くてもこれだけ外灯が多いと虫が散ってしまう…。ちょっとだけ残念に思いながら、昼に下調べした道を外灯沿いに歩いていきます。それでもいろいろな生き物を観察することが出来ました。

 

サソリモドキ。こんなにかっこいい生き物が、ものすごく平凡にいてしまう…。最初はかっこよさに大騒ぎしていたのに終いにはザコ認定になってしまいました。

 

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タカサゴクマゼミ。昼に鳴いていたのはおそらくコイツ。昼にあれだけの個体数もいたことだし、おそらく羽化のピークは過ぎているようで、成虫と抜け殻ばかりで羽化途中の個体は見つけられませんでした。

 

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ヤモリの幼体。口に含みたいくらいキュート!

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帰りに白黒シマシマのとんでもなくきれいなヘビを見かけて、特に私とキキヤミはミーハーにヘビが好きなのでそのヘビを追いかけたのですが、写真を撮る前に藪の中へ姿を消してしまいました。このことをツイッターに書いたら、バイカダかアマガサヘビではないか?というコメントをいただき、調べてみるとおそらくはアマガサ。とても美人なヘビですが、その毒は致死率が非常に高く、わりとシャレにならないやつだったのだと知り冷や汗をかきました。昼ですっかり気が緩み、夜はサンダルで探索していたので万が一の事態にならなくて本当によかったと思います。

(これを読んだ方には、海外遠征前は注意すべき生き物とその対処を十分に調べてから臨むことを強くお勧めします。以前、沖縄に行った時もアフリカマイマイを素手で触って手を洗わずにご飯を食べる等していたため、あれから本当に何一つ進歩していないなぁとちょっと反省しました。神様いつもありがとう。)

 

一応知らない土地だということで、早めの23時前には宿に戻りました。(大事をとるならもっと早めに戻った方が良いと、今更ながら思います。)

 

9/1

昨晩はシャワーを浴びてから採集品と荷物の整理なんかもして就寝が遅くなり、朝は八時過ぎと遅めの起床。宿で出してもらった朝食のサンドイッチとフルーツ。これがまた美味しい!

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今日は昨日とは反対側にあるちょっとした丘陵の方へ行ってみようと決めて、コンビニでご飯を買い、暑い日差しの中ダラダラとアスファルトを登っていきます。

途中で見かけたタイワンヒラタの死骸。ありがたく持って帰ります。なぜかすぐ近くでもう一頭死骸を拾いました。

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これも道中見かけたカッコイイびすとんの死骸。ツイッターのフォロワーさんに教えていただいた台湾産の蛾を取り扱うサイトによると淡黃突峰尺蛾というようです。

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昨日見た真っ赤なトンボにそっくりな美しい琥珀色のトンボ。これもフォロワーさんから赤い奴の女の子なのだと教えていただきました。ここら辺は翅脈を見ないと同定が難しいらしいです(似たやつが三種くらいいる)。色残しも難しいのでトンボはスマホでテキトーに撮って遊んだだけなので種名までは分かりません。次の課題ということで。

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一時間くらいでその丘の一番上あたりに着きました。(キキヤミのもやし通り越して骨っ子な体力に合わせて歩いてるので普通なら40分くらい?)途中もクロテンシロチョウやキチョウの仲間なんかが多く、非常に楽しかったです。1.5mくらいの茶色いヘビも見かけましたが、学習したのでそっと見守りました。

 

行き止まりは宗教か武道の集会所のような場所になっていました。少し開けた林があり、ここで採集させてもらいたいなーと考えていると、ちょうどその施設の関係者らしい若い男女が車でやってきました。

とりあえずこちらからにこにこしながら「ニーハオ!」と話しかけて、むこうが中国語で何か話しかけてくれますがさっぱり分かりません。「Sorry, I can’t speak Chinese. We are from Japan, our purpose is finding insects and make a specimens. Can we catch insects here?」と、中学生にすら笑われそうな英語で話しかけます。男性の方に一応意味は伝わったらしく、笑いながら中国語で女性と何かを話し「 … OK! OK!」と返してくれました。

許可が取れたので私は林床の方でブンブンと網を振り回し、雪山はスケッチ、キキヤミは路上でくたばっていました。

 

一か所だけぽっかりと空間があいたような場所で、下の方では見られなかったウスムラサキシロチョウ?やウスキシロチョウが縄張りの張り合いと追いかけっこをしています。二度ほどツマベニチョウも来ましたが、速さと高さに手が出ませんでした。

 

ウスキシロチョウの♀?パールのような煌めきにため息が出ます。

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林をボーっと眺めていると、とんでもなく艶やかな明るいターコイズを身に纏ったアゲハが、目の前を横切っていきました。あまりの神々しさに心臓がひっくり返りそうなほどドキドキし、全身の毛穴から汗が噴き出てきました。

今のが生きているチョウなのか???あんな神々しいものを私が採ってもいいものか????と、よく分からない混乱と畏怖の感覚に陥り2、3度そのチョウが目の前を過ぎていくのを見送りました。ようやく網を握る手に感覚が戻り、やってくるのをひたすら待ちました。

 

この時の感動は一生忘れられないのだと思います。

 

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翅全体に散りばめられたエメラルド。神々しいまでに美しい、青い帯。

よくわからない奇声をあげながら雪山とキキヤミの元に駆けていったのですが、指でチョウの胸部を摘まんでからの記憶があいまいでよく覚えていません。三角紙に入れた後で、尋常じゃない手汗によって指先にくっついた鱗粉がもったいなくて舐めとると、柑橘系の香りがしました。その後数分の記憶はトんでいますが、ルリモンアゲハ台湾亜種、初採集です。

 

その後もルリモンアゲハやシロチョウの追加を狙いつつ、三人で決めた正午まで頂上で粘りました。

 

元気に網を振り回したせいでストライクしてしまったクロアゲハ。もちろんお持ち帰りしました。ごめんね。

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ナガサキアゲハのオス。台湾のナガサキ♂は銀箔の砂子のようなキラキラの後翅が眩しい。

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必要以上に怯えて威嚇してきた猫。かわいい。

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下りきったところで、朝に目を付けた平地の林道に入ります。

すると、畑近くの柑橘系らしき植物にオナシアゲハが来ていました。が、一瞬で飛び去りました。蝶道になっているようだったので、二人に頼み込んで昼の良い時間を30分も待たせてもらい、ようやくネットイン。

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昨日見送るしかできなかったこともあり、本当にうれしくて地面に体を投げ出しました。(マナー違反)

上品なレモンイエローや大胆な模様の入り方も美しくて本当にいい蝶です。平地の、わりと住宅地側に多いイメージでした。人前では網をなるべくしまっていたのでオナシアゲハはこの一頭しか採れませんでした…という言い訳…。

 

道を進んでいくと、ランタナの咲き乱れる場所に出ました。カラスアゲハやクロアゲハ、ナガサキアゲハリュウキュウアサギ、ルリマダラ、ツマムラサキマダラ、タイワンモンキアゲハ、アオスジアゲハに混じってルリモンアゲハも時々飛んできました。

 

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頂上で採ったものと比べて、斑紋の発達がやや弱い…。でも好き…。

 

ここらへんで日が傾いてきたのでぼちぼち道を引き返すことに。

シロオビヒカゲや

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シロスジマダラっぽい味わい深いチョウも採集。

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宿に戻るころには暗くなり、荷物を置いてから晩御飯を食べに出かけました。

この日入ったのはお粥屋さん。気さくなおじちゃんとおばちゃんがやっていて、中国語を誰も話せなかったので三人別々のお粥をジェスチャーオノマトペのみで注文(笑)うまくいきました。 

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一皿65元(200円)ほどだったかな?これが本当に美味い。台湾で食べたものの中で一番恋しいのがこのお粥です。ピータン(アヒルの卵)やよくわからない独特のトッピング。ベースも鳥、豚?、牛から選べて、それぞれのお粥をシェアしながらたいらげました。最高でした。

台湾で中国語は「ニーハオ」と「シェィシェ」、「ハオチー」だけ知っていれば何とかなる感じがしてきました。

スーパーでビールを買い、宿に戻ってから三人で少しお酒を飲みました。

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採集品の一部。普段ハチは採らないのに、台湾のハチは色や模様が美しくてついつい採ってしまいました。

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9/2

キキヤミより先に私と雪山が起きたので、私は初日に行った林道でチョウの追加を狙ってヒメアサギマダラなどそこそこの成果をあげました。雪山は街中を散策してきた模様。朝ご飯を食べに戻り今日の相談。骨っ子キキヤミはすでに疲れがたまってバテ気味だったので午前中は休み、私は雪山と目星をつけていた山を歩きたかったので昼に宿の近くでご飯を食べる約束をして別行動。

登山道まで行くと、なんと昆虫や動植物の採集を禁止する看板が(笑)もちろんさっさと引き返します。登山道の入り口に何かの施設があり、我々に気づかずにすぐ近くで盛大に爆竹を鳴らし始めました。めちゃくちゃ怖い。台湾の人たちみんな爆竹が生活に根付きすぎです。

 

正午より前には戻り、キキヤミの希望で比較的しっかりしたレストランへ。このあたりだとややお値段が張るようでしたが日本の普通のレストランと大体同じような金銭感覚でした。出された料理はとても美味しかったものの、私個人の好みとしては露店っぽいところで安くて美味しいものを食べる方が満足度が高いなぁと思いました。そこらへんの価値観は人それぞれです。

 

食べ終わってから私は昨日の林道の続き、二人は観光と散策に出かけました。

 

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台湾のハンミョウ、青い!!

 

林道の奥には植林が広がっていて、その木の幹には山繭っぽい薄銀色の繭がベタベタと貼りついていました。樹を含めて絵合わせしたところ、テグスサン(楓蚕)で間違いなさそうです。成虫は冬に出てくるそうなので今の時期(9月)は見られません。残念。

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いろんなチョウの追加を狙いつつ、道を歩いているとブワっと目に飛び込んできた大きな白い影。心臓がひっくり返りそうになりながら、気が付くとネットインしていました。ナガサキアゲハ有尾型♀です!!めっちゃぼろいけど最高に嬉しい!!!実は今回の明確な狙いの一つでした。

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沖縄でどうしても白い♀が欲しかったのに、採れずじまいだった雪辱を台湾で果たすことが出来ました。感無量です。細やかに白の広がった翅が美しい…。

 

時折、雨がざっと降ってきたりもしましたがあまり気にせず進みます。

 

吸水するシロスジマダラ。調べてみたらもうちょい白が発達する個体もいるよう。 

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林道の奥の方では明るく開けた場所があり、アカタテハルリタテハツマムラサキマダラとシロチョウの仲間が飛んでいました。

 

そして個人的にかなり琴線に触れたメスシロキチョウの♂。

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フワーッと白い花にやってきたところをすかさずネットインしました。もう美人すぎて鼻血出そう。

 

 

フラフラ歩き回っていたらかなり日が落ちて、慌てて道を引き返しました。薄暗くてよく見えない中を、何かタテハチョウっぽい羽ばたきが聞こえてきました。2,3頭がバトっているようです。私は鳥目なので見えないけど。

音を頼りに気合でスイープし続けてたら、入りました(笑)

 

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(追記2017/1/28:ソンダイカコノハワモン Dischophora sondaica tulliana だと教えていただきました。最近台湾に侵入した蝶で、与那国島でも目撃記録が一例だけあるそうです。)

 

この時の「勝った」感が尋常じゃなくて、写真も興奮でよく見ずに撮って、こんなブレッブレのが一枚しか残っていません。アドレナリンドバドバです。(加工して見やすくしています)

 

宿に戻ると、今日から数日間A地区のお祭り?のようでメインストリートの奥の方で出店がたくさん出ているとオーナーさんが教えてくれました。

雪山・キキヤミと合流して様々な出店を楽しみました。

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地瓜球という芋?を使ったスナックを売っていたお兄ちゃんに「こんなに英語ができないのに三人でだけで来たの?虫の為に??クレイジー…」とか英語で散々煽られたので「やがしめでや(秋田弁で黙ってろの意味)」と相手には分からない言語で煽り返しておきました。

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二人と今日の成果報告をしていたら、二人が散策して見つけたという壁画の写真を見せてくれました。

 

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い、いるのか・・・?ヤツが・・・・!!?

 

 

明日の昼にはA地区を出て、二人の強い希望でもある九份へ向かいます。

採集品の整理をしてこの日は早々に寝ました。

 

太牙と翠の蝉

14、15日に虫研同期の雪山、キキヤミ、後輩の御山と四人で山形県唯一の離島・飛島に行ってきました。

狙いはフトキバスナハラゴミムシとミカドミンミンです。

 

実は去年、ミカドとアオスジアゲハ(山形県では鶴岡酒田あたりにしかおらず、山形市ではなかなか見ることがない)を狙って一人で飛島に行ったのですが、時期が早すぎてミカドは惨敗でした。その10日程後に行った知り合いからミカドミンミンがかなりの数いたと聞かされ、悔し涙を流すこと一年。ようやくリベンジマッチの季節がやってきました。

 

14日

9:45に山形市を出て、12:20くらいには酒田港に着いて昼食を食べてから二便に乗る予定が、不遜なクソ後輩こと御山が寝坊し、結局30分以上遅れて出発(笑)
かなり焦りながら運転して酒田港に到着。
この時、慌てすぎてコップを埋めるためのスコップを車内に忘れるという痛恨のミスを犯します。(持っていった紙コップ300個が全て無駄に…)

ターミナル二階の海鮮丼屋に入る予定でしたが大行列で、結局酒田まで来て函館のイカ飯を食べる私とキキヤミ。
御山が信じられない量の赤身魚の刺身を購入、手で食べる。ひどい絵ヅラである。

 

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手続きを済ませてフェリーに乗船。
夜も虫を探すつもりなので二階のベンチで寝る。
午後3時に飛島に到着。船が港へ近づいていくと、凄まじいミンミンゼミの大合唱。これは期待できるぞと、下船後すぐにミカドミンミンを探しに行きます。

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2016.8.14 山形県酒田市飛島

 

 

 

捜索開始2分で発見(笑)

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透き通るような翡翠色。裏側まで美しい。

比較用の普通のミンミンゼミ。

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特にキキヤミはセミ大好きなのでミカドミンミンを見つけた瞬間、感嘆しながらへたりこみましたが、しばらくするとミンミンゼミの大合唱があまりに耳にクるので「わーすごーい、パチンコ屋みたーい」と評していました(笑)

 

あっけなく目的の虫に会えて、今回の採集はかなりユルい雰囲気に。

しかし、私の第一目標はフトキバスナハラゴミムシです。ちなみに今回のメンバーでは私以外は誰も狙っていません。

(余談ですが、去年一人で飛島に来た時はアオスジアゲハとミカド狙いで、フトキバは「ふ〜ん、こんな虫がいるんだ、ついでに見つけられたらいいなぁ〜」くらいの軽い気持ちでした。何のリサーチもせずに、フトキバ"スナハラ"ゴミムシという名前のニュアンスから海浜性のゴミムシだと思い込み、砂浜を探して薮をこぎ、たどりついた海岸は漂着物だらけという何もかも救いようのない結果でした。

 帰ってから畑の脇などにいるゴミムシだと知り、その後きちんとリサーチをして、姿形のかっこよさから憧れの虫となりました。)

 

 チャンスが一晩しかないので、日が暮れる前に紙コップを埋めてしまおうと林道へ向かい道を登って行きます。

 

ここで悲劇が二つ。

一つ目は車内にスコップを忘れてきた事実に気づいたこと。

二つ目は切り替えて側溝漁りをしていてしゃがんだ拍子に、汗で張り付いた安いズボンのケツが派手に破けたこと(爆笑)

 

名誉の為に言っておきますが、一応肥満体型ではありません。が、完全にクソデブエピソードじゃねーか!と笑いながらパーカーを腰に巻いてチャックを閉め、暑苦しい服装で二日間を過ごすはめに。

ちなみに、飛島の売店では海パンなんかも売っていないので、ズボンは2着持っていこう(笑)

 

気を取り直して側溝漁りを続けるも、アホみたいな数のオオヒラタシデムシとミミズ、トビムシ?、ちらほらと他のゴミムシが出てくるばかりで、フトキバ見当たりません( ^ω^ )

仕方ないので夜のルッキングに賭けることにして、夕食を食べに集落に戻ります。

 

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夕暮れの港町。

飛島の西村食堂で無料のレンタサイクルがあるのですが、基本的に全て借り出されているので使えません。沢口旅館で有料レンタルしているのでそれを借りました。

"しまかへ"で夕食を済ませて砂浜へ。

 

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ハマダンゴムシが可愛い。

 

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 ハマヒョウタゴミムシダマシがめちゃくちゃ可愛い。

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いくつ見つけられるかな?

他にもヒョウタンゴミムシがいたりして、夜の砂浜を歩くのは楽しい。

ちょうど、ペルセウス座流星群の見頃から少し経った時期だったので、砂浜に寝転がり星を眺めて夜が更けるのを待ちます。

 

22時を過ぎたくらいに、ミンミンゼミの羽化を探しに行きました。

蝉のなる木のような感じで居るわ居るわ、この木の幹は目視で40頭あまりでした。有り難みがない…

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私が去年飛島に来たのは、8月の10日より前あたりでこの頃は羽化の時期だったらしく今回と同じ場所で15匹ほど羽化途中の幼虫を見かけました。が、今回はなかなか見つからない。

しばらくして、雪山が見つけてくれました。

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テネラルですが、これはミカド。模様がほとんど浮かんできていません。本当に美しい。

比較になるかは微妙ですがノーマルミンミンの羽化も。

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ひとしきり満足したところで本丸を狙って、林道の側溝をルッキングします。誰もわざわざ地味なゴミムシを狙ってはいなかったので、太牙の特徴をみんなに伝えます。

丁寧に丁寧に見ていると…クソ後輩御山様が「先輩、これってなに?」と言いながら太牙片手にやってきました。あー、トゲフタオのFlash Back… 。

触角が片方かけていたもののとりあえず、ありがたくいただく。

 

この後、次々と見つかる。なんで先に私に見つかってくれなかったんや…。

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よ、容疑者確保ーーーッ!!

 

生態写真はiPhoneだとうまく撮れなかったので、とりあえず仮展足した写真を。

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ずんぐりした前胸に、超絶かっこいい無骨な牙。良い虫です。さっくりルッキングして8頭得られたので、個体数は多いのだと思います。でも不完品が多かったので、太牙を狙う人はもう少しだけ早い時期にくるといいかもしれません。

紙コップを300個も埋めていたら、朝にはオオヒラタシデムシで溢れかえり太牙どころではなかったでしょう。採集にはルッキングをお勧めします。まあ結果論ですが。

 

太牙を探して側溝を見ていくと、いろいろなゴミムシがいました。

中でもかなりヒットしたのはオオホソクビゴミムシです。ホソクビゴミの仲間自体初めて見たので、軽率に「あ、美人がいる!」と指でつまもうとすると、ミイデラゴミムシで有名なガスの噴射を食らいました。

触ろうとした瞬間可愛らしい「プュッ!」というような高めの音がして、アイロンに一瞬触れたような熱さを指先に感じて反射的に手を引っ込めました。すぐに指先の匂いをかぐも、そんなに強い香りではなく、嫌な匂いでもありませんでした。

後で指先を確認すると、ちょっと茶色っぽくなっている。

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「美人が私に(火傷?を)与えてくれた!」と大興奮していたら、他3名にものすごく冷えた目で見られました。

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走り回る美人。

 

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囚われの身となった美人。

 

一通り自分の目標はクリアできたので、他のことも楽しむ余裕ができました。

 

15日

日の出とともにに海岸へ。去年の早朝に、海岸沿いをフラフラと飛ぶアサギマダラを目撃していたので、今年も会えないかなーなんて思いながらど早朝の散歩をしました。

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2016.8.15 山形県酒田市飛島

岩の表情なんかも面白い。

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 飛島には賽の河原と言う場所があり、何となく想像がつく通り平たくて丸い石がいくつも積み重なった少し不気味な場所です。飛島の石をもって帰ると祟りがあるとかで、その伝承も何となく嫌で周辺の写真を全く撮っていません。

アサギマダラには会えませんでした。

 

ほぼ徹夜により、お腹も減ったしそこそこ疲労困憊で帰りの運転も怖いのでお店が開店するまでの間はベンチで寝ました。

 

ご飯を食べて、昨日のミンミンパラダイスへ。

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こうやって並ぶとすごく面白い。

 

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アオバハゴロモもぴよぴよしていました。なかなか見ないので嬉しい。

 

私とキキヤミはアオスジアゲハを探しに林道へ向かいます。

飛島にはタブの大木が茂っており、私が持つ山形のイメージとは大きくかけ離れています。そこをアオスジやタダカラ、ミヤカラ、モンキアゲハ、ウラギンシジミなどが飛び回ります。アオスジアゲハはたくさんいたのですがいずれもボロで、チョウは何一つ採集せずに引き上げました。

 

 飛島では1度林道に入ると、常にウシアブにまとわりつかれます。

私「ウシアブめっちゃウザいな」

キキヤミ「ぼく惑星、ウシアブ衛星って感じ」

私「天才かよ」

 

ふざけていたら雨が降ってきて、この辺りで時刻は正午に。帰る予定の二便は15:45出港予定なのでまだ時間はあります。別行動で朝から海釣り公園で釣りをしている雪山と御山を真似て、私とキキヤミも釣りをすることにしました。

300円で冷凍のオキアミを買い、貸し出してくれる簡単な釣り竿の先の小さなフックにオキアミをつけて糸を垂らします。釣りは初めてでしたが、小さな魚が入れ食い状態。フックに引っかかるかは半ば運ですが、かかると手ごたえを感じて楽しい。

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小雨に降られながら乗船までの時間をつぶし、最終的には全部リリースしました。

乗船30分前、レンタサイクルを返却して帰る準備をしていて大変なことに気がつきました。

「ミカドミンミン採ってない!!!!!」

そうです、あまりにも数が多すぎて脳がかなり満足してしまい、翅が傷つくのも嫌だし乗船前にすぐ確保できるやろ…と考えていたことすら忘れていたのです(笑)釣りしている場合じゃない(笑)

 

残り10分、大慌てで探すもこうやって焦って探すとあれだけ多いミカドがなかなか見つからない…(笑)なんとかノーマルとミカド1頭ずつ確保することができました。(色残しも難しいし、普段セミを採集しないのでこれくらいでも満足です。)

 

滑り込みで船に乗り、さらば飛島!また来ます!

 

 

17:00に酒田港に着き、行きは食べられなかった海鮮丼屋 とびしま に入って夕食。

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これで千円(税抜き)!!本当に美味しくて舌と脳味噌がとろけそうでした。

 

そのあとは月山方面で温泉に入り、フラフラと車を運転して0時前に山形に帰りました。

今回は、私以外は全員採集をしないメンバーだったので私も結構気楽に飛島を堪能することができました。多分1人で来ていたらガツガツ採集して周りを楽しむ余裕などなかったと思います。 3人には本当に感謝です。期間は短いですがきちんとリベンジもできて、かなり満足度の高い採集旅行となりました。

来年は完品のフトキバをもう少し確保すること・スレの少ないアオスジアゲハとモンキアゲハを確保すること・行っていない海岸を歩いて虫と貝を楽しむ事を目標に訪れたいと思います。

チャマダラセセリ調査


某所でのチャマダラセセリの卵の数を数える調査のお手伝いをさせていただきました。
炎天下の草原で、ミツバツチグリなどのヘビイチゴっぽい葉っぱ(現地には数種類あり、いずれも産む)をひたすら捲る作業です。

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2016.6.11 
チャマダラセセリ。成虫も幾つか見ることができて本当に幸せです。可憐で妖精のような蝶…。

普段の不摂生が祟って熱中症気味でしたが卵を探す作業はとても楽しかったです。

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2016.6.11 
作業中にみつけたコヤツボシツツハムシ。
最初はテントウムシの類だと思ってしまいましたが、普通にハムシでした。居た堪れなくなるのでクロボシツツハムシみたいにテントウムシ擬態だと思いたいです(笑)

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2016.6.11 
アズマギクの咲く草原。
表土を剥がし、成長の早い牧草を植えたことにより、こうした本来の草原は失われ、本来の草原があった頃にはどこにでも見られた光景であると聞きました。

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2016.6.11 
オオハンゴンソウにつくケマダラカミキリ。教えてもらって探しましたが、フォルムも模様も良い。

いろいろな花を見られて楽しかったのですが、写真は無し(笑)
草原再生と一口に言っても、多くの労力と時間を惜しみなく捧げる人間がいるから、いてようやくこれだけの環境を維持することができるのだと少し感動も覚えました。



鮭川村のギフとヒメ


マイマイカブリについてまとめ終えていませんが、良い時期になってしまったので最近のことをザーッとまとめておきたいと思います。

今年は4月下旬あたりから調査のお手伝いをさせていただいて、通算二週間以上キキヤミと一緒に鮭川村に出掛けていました。
鮭川は素晴らしい場所で、人の暮らしと昆虫との重なりがいつまでも互いに邪魔をしないような形で続いていけたらいいのにな、と思います。

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2016.4.25 鮭川村
トウゴクサイシンに産卵するヒメギフチョウ

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2016.4.25 鮭川村
翅を広げるヒメギフチョウ。前の写真と同一個体。ふわふわ。

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2016.4.25 鮭川村
ギフチョウ。少し休んでまた飛んでいった。

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2016.4.26 鮭川村
シラネアオイ。近くではムシカリの花やイワナシも見頃だったような。

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2016.4.30 鮭川村
民家の裏手に生えるトウゴクサイシン。きちんと草刈りがされている証拠。

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2016.5.6 鮭川村
アズマヒキガエルと最高のトゥルトゥル卵。アズマは赤でニホンは黄だと勘違いしていましたが色の差は単純に雌雄の差のようです。

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2016.5.6 鮭川村
スゲハムシ。奴らの何もかもが好き過ぎて辛い。

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2016.5.8 鮭川村
ギフの卵を吸うダニ。吸ったからにはきちんと生きてきちんと死んでほしい…。卵が白いのはダニによって食事済みということ。

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2016.5.30 鮭川村
ギフの幼虫。サイシンを上から見て、食痕が特徴的なので見つけやすい。

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2016.5.30 鮭川村
こちらもたぶんギフ。わらわらしていて可愛い。

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2016.5.30 鮭川村
黒化型のウスバシロ。ここは変異に富んでいて、目が幸せだった。

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2015.5.30 鮭川村
黒化型のウスバシロを掌に乗せるとこんな感じ。かなり透けていて美しい。

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2015.5.30 鮭川村
何気なくリュックを下ろしたら首のすぐ後ろにいたようちう。オビカレハかな?びっくりしたけれど調べたら無毒らしい。カレハガには刺す幼虫が多いという雑なイメージしか無かったので現地ではノータッチ。次に会ったら触らせてもらおう。

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2016.6.6 鮭川村
ヒメギフチョウの幼虫。5/30と同じ場所のもの。すくすく育っていた。

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2016.6.6 鮭川村
ヒメウラナミジャノメ。人を惑わすような飛び方をする蝶だと常々思う。惑わされるのは私だけかもしれないけれど。

これは自省も含む常識的な話ですが、鮭川に限らず人の土地や人の近くでの採集及び観察、撮影は現地の方々の心境やマナーを考えて行動するべきだと思います。「調査と称して自分はズカズカ上がり込むのに人の事はdisるのか」などと言われそうですが、私自身も今回はかなり慎重に行動しました。正直、今までそこまで考えて行動する余裕が無かったのですが、このように長期的に一つの場所や人と関わることで、今までの私の行いがいかに配慮に欠いていたか考えさせられる機会になりました。
鮭川村自体がギフチョウヒメギフチョウ(採集禁止)をシンボルにして村のPRをしているので撮影や観察で鮭川村を訪れるのは良いのだと思いますが、一人一人がその際のマナーをきちんと弁えた行動をすべきだと思います。虫好きの一人でも多くの人が、現地の方々と良い関係(コミュニケーションを直接とらずとも)を築いていけたら良いのになーとか思います。以上蛇足な独り言でした。

ド派手に脱輪したり事故ったり網を折ったりしながら奔走しましたが、ある程度きちんとしたデータが集まってよかったです。


<追記>
6/6の幼虫写真をギフチョウと思っていましたが、ヒメギフチョウであるとのご指摘をいただいたので訂正しました。